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「男の子と女の子の子育て論」

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①小崎恭弘『お母さんのための「くじけない」男の子の育て方』

②西原理恵子『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』の2冊を読む

くじけない男の子女の子が生きていくときに

 

今回はたまたま一緒に読んで興味深かった2冊の本を同時にとりあげることにします。両方とも長いタイトルなので①、②と表記しましょう。

①の小崎さんは大学の教育学部の先生ですが、男性保育士として、施設や保育所に12年間勤務しながら、3人の男の子を育てたという経歴をお持ちです。

②の西原さんは漫画家としても著名で、本の中に「高須先生」への畏敬の念が2~3ヶ所書かれていますから、高須クリニックの高須先生の奥様なのかも知れません。

①②に共通するのは、世間で俗に言うとても「強いお母さん」が登場していることです。両著とも「強いお母さん」が主人公ではありますが、彼女たちの子どもへの接し方は、ほとんど正反対といえるほど異なっています。

①で小崎さんがとりあげているお母さんは、男の子の教育にほとんどベッタリで、しかも彼らを自分の分身として自分の支配下にしばりつけようとしている母親像が多いようです。

<最近は、極端に過保護な親子関係も見られますが、(中略)そのような母親から息子への支配が続く中で、結局は全て母親の言いなりになってしまい、自分で考えたり、判断したり、行動ができない男の子が増えています。>

<そんな中で目につく例として、入試の個別説明会でずーっとしゃべり通して質問をし続けるお母さんがいます。まるでご自分が、受験されるかのようです。そしてその横の息子は、多くの場合無口でしゃべりませんし、しゃべれません。しゃべる必要がないと言えるのでしょう。おかしいです。自分が受験をし大学生活を送るのに、何も主体的な行動を起こさないのは。>

<息子の意見を尊重して、彼らが判断して、行動できる機会をたくさんあげてほしいのです。そのためにぜひお母さんに使用を控えてほしい言葉が、

・「わかった?」

・「お返事は?」

この二つです。これを言われると息子たちは何も言い返すことができません。なぜならこれらに対する答え方は、たった一つしかありませんから。「うん、わかった」です。これ以外の答え方をしたら、先ほどの何倍もの勢いで「まだ言ってるの!」「もう、どうしてわからないの!」「口答えしないの!」と、きっとこう言われるに違いないからです。この積み重ねが、息子に考えることをやめさせますし、意欲を低下させます。>

こうしたお母さんに対して、小崎さんは英語の副詞「enough」という単語を思い出してほしい、と言っています。

<(enoughは)「少なすぎず多すぎない、よい加減」という意味でもあります。この「よい加減」というのを大阪弁でいうと「ええかげん」ということです。ええかげんとは「適当な様子、許容範囲が広い様」という意味であり、「まあ、いいかぁ~」と受け流すという感じです。そうなんです。子育ての一つの極意はこの「ええかげん」という感覚です。彼ら一人一人には絶対に育つ力があります。必ずあります。どんな子どもにもあります。ただ親がそれを信じられなかったり、待つことができなかったりして、その力を発揮させられないのです。息子のいろいろな言動や姿、態度にいちいち腹が立ちますが、どこかで「まあ、いいかぁ~」と軽く受け流してみることも、お母さんには必要なことだと思います。>

②の西原さんは、彼女の描くマンガの絵のように「うまいんだか、ヘタなんだか」(失礼!)、はたまた子育てが「上手なのか、下手なのか」(これまた失礼!)よく分かりませんが、「土佐いごっそう」(彼女は四国高知県の出身で「いごっそう」とは頑固者の意)の代表格のような気がします。彼女には男女二人の子どもがいますが、長男は16歳の反抗期の最盛りにアメリカに留学してしまいます。

<「長男のがんじがアメリカに行ったのは16歳の時でした。

やる気スイッチなんて、上等なもの、うちの子にはついてないのかと思ったら、やりたいことができた途端に頑張り始めて、あっという間に海の向こうに旅立って行った。空港で息子の背中を見送った時、長男卒業したなあって思いました。>

長男がアメリカに旅立ってしばらくして、

<今度は、突然、娘のひよに言われました。

「お母さんなんてキライ!」

おまけに「私、お母さんが敷いたレールに乗るつもりなんてないから」ときた。

えーと?お母さんが敷いたレール?

敷いたっけ、私、そんなもの。

はがした覚えはあっても、敷いた覚えはないぞ!

あ、そうか、これはいわゆる反抗期ってヤツか。>

その後間もなくして、突然のように娘さんが言い出した。

<「オーディションを受けたい」。

そうか、そっちに興味あるんだと。

簡単なことじゃないくらい、あの子にだって、よくわかっているはず。

たぶん落ちるし。

ところが通っちゃったんですね。これが。

オーディションは、400人中8人という結構な倍率で、よくまあ、受かったもんだと思う。まわりはオーディション慣れした子ばっかりなのに、素人っぽかったのが逆によかったのか。>

しかし娘の反抗期はこれで終わったわけではありません。例の「お母さんキライ!」は何度も繰り返され、そのバトルは決定的な局面を迎えることになります。

<「わかった。もう関わらないから。」

そう言って、それ以来ずっと口をきいていない。>

西原さんの場合は、簡単に書けばざっとこんな風です。①に出てくるお母さん方と、②の西原さんの子育てだけでもこれだけの差異があります。さて、今反抗期まっただ中のお子さんを抱えるお母さん方、お父さん方は、これからをどう乗り越えることになりますか。

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